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San Francisco紀行
- FUNAI'S EYE
目覚めると快晴の空にGolden Gate Bridgeが眩く見えていた。
普段は夏でも薄ら寒く霧の多い街だがこの時期だけは快晴が続く。
こんな一日のスタートは夜明けと共に目覚め、少し濃い目のコーヒーで体を覚醒させれば
キリッと空気が引き締まったような中でゆっくりジョッギングしてみよう。
そして熱めのシャワーの後はSwan Oyster DepotのBrunchが待っている。
カウンターのみで20人も入れば一杯になる店だが予約など取らない。
11時前には既に店の外に行列が出来始めるが決して順番待ちをすることになったからといって悲観してはいけない。
ビールや白ワインを片手に表の通りでお喋りを楽しみながら気長に席の空くのを待つのも
バケーションならではの緩やかな時間の過ごし方だ。
BrunchにはOyster(3種盛りが良い)・Crab・刺身感覚で食べるカルパッチョに
白ワインが実に良く合う。
呑み過ぎない程度で切り上げて少し街中を歩いてみよう。
BART(地下鉄)のEmbarcadero駅から少し離れたところにPerbaccoはある。
最近のシスコのビジネスマンに人気の地中海料理店だが少しオシャレなCasual Italian Fashionで出かければもっと楽しくなるだろう。
そしてもう少し市内中心部に向って歩きChina Townを抜け、坂を下ればUnion Squareに辿りつく。そこにはCable carの始発駅であるUnion Stationがある。
どんな構造になっているのかは分からないけれどあの急勾配の坂を列車から人がはみ出すくらい乗せて行き来している。
綺麗な月夜の中で坂を上っていく姿は月に向う列車のようにも見える。
こんな穏やかな一日はJazzで締め括ろう。
Union SquareからBARTに乗れば10分ほどで対岸のOaklandに着く。
工業地帯の中心地であったOaklandは全米の中でも歴史は古い。
その中でもBroadway通りの突き当たりにあるJack London広場に行けばYoshi’s restaurantが堂々と聳える。
日本食レストランだが全米ではJazz liveの店としての方が有名だ。
Norah Jonesもこの店から生まれた。
サンフランシスコはカリフォルニアで最も落ち着いた街である。
その昔、ブリットは1968年型フォード・ムスタングGT390に乗り
Dodge Chargerで逃げる敵を猛スピードで追いこの坂を縦横無人に駆け抜けた。
我々にとってDream carは映画の中でしか接することができなかった時代であり
アメリカがもっとも格好良く自信に満ち溢れていた最後の時代だったのかもしれない。
この街に来る度にアメリカの凋落を感じる。
ゴールドラッシュを機に日の出の勢いで人口が増え大都市となった街は
今も繁栄の中にありながらも静かな趣の中で熟成している。
それは円熟期に達した人がそっと自分の人生を振り返り懐かしむように
朝陽の眩しさではなく、夕陽の名残りが似合う街になったような円熟感でもある。
なんとなく、カズオ・イシグロの「日の名残り」をもう一度読み返したくなる、
そんな街の佇まいが実に心地良い。
Report by Yuji