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私の選ぶベスト10 (洋食編)

今や日本で食べるフレンチやイタリアンは本場を凌ぐほどとなり、本場で修業した日本人シェフが海外でも幾多の賞を勝ち取るほどに成長している。
でも、逆に欧米人が日本の料亭で修行し、日本国内で和食レストランを開いた上、賞を勝ち取るほど成功している話などは聞いたことがない。
やはり我々には未だ欧米への憧れが食に関しても深く根ざしているようにも思える。

ところで、大正生まれの私の父が愛した洋食といえばオムライスでありハンブルグであり、ポークチャップやチキンチャップだった。(Chopのことでしょうね、きっと。)
そして、時としてお好み焼きまでも洋食焼と呼んでいた。
つまり、戦中派にとっての西洋料理とはその程度のものだったのだ。
そういう私にとっても日本で食べる好みの洋食と言えば父と同じくオムライスでありハンバーグなのである。
そんな洋食の伝統を頑なに守っているお店を中心に選んでみた。

 

第10位 自由軒(大阪・千日前)
大阪-自由軒
織田作之助が愛し、我が家でも4代続けて通うこの店の名物カレーの味は明治時代から変わることはない。
カレーとライスをごちゃ混ぜに盛りつけ、カルデラ中央のくぼみには生卵が居座っている。
そう云えば子供の頃、カレーライスには生卵がつきものであった。

それをかき混ぜながら辛さを卵のとろみでごまかしながら食べたものである。
いつからあの生卵はカレーライスから消えてしまったのだろう。
狭い店内ではゆっくりと食事している暇などない。
かっーとかきこんだら、さーっと出て行く。
その、ほど良い辛さは店を出てから徐々に舌に伝わってくる。

 

第9位 グリル・ビクトリア(根岸・東京)
ビクトリア
初めて訪問すればその昭和の喫茶店的風貌に少々味に不安を持つかもしれない。
テーブルにインベーダーゲームなんかがあっても決して違和感のないクラシック店なのだ。
だから名物手ゴネハンバーグを注文し出てきたときには、まず指でソースをわずかだけ味見をしてみれば良い。
直ぐに笑顔を取り戻し、後は一気に腹にかきこむこと間違いなしである。

 

第8位 はり重 (道頓堀・大阪)
はり重
浪花の中にあって道頓堀ほど大阪の食いだおれを象徴する地域はない。
その中でも昔から洋食の帝王として輝いている店がこの「はり重」である。
父は給料日毎に、この店の肉を買って帰宅した。
ハンバーグ・オムライス・カレーどれをとっても昭和の香りが漂っている。
その昔、西洋料理など分らぬ主婦達が見よう見真似で作った、不器用だがそれでいてしっかりとした、あの浪花の味付けが、この店には今も残っている。

 

第7位 ニシモト(道頓堀・大阪)

蔦のからまるチャペルで祈りを捧げて。。。いる場合ではない、昭和9年(1934年)から続くレトロな建物だが中は狭い。
ここでは定番のビフカツとオムレツの洋食弁当をいただこう。
昔ながらの洋食が生き生きとしていて気持ちの落ち着く店である。

 

第6位 重亭 (なんば・大阪)
重亭1 重亭2
昭和21年(1946年)より大阪ミナミで欧風料理の老舗として君臨している。
ハンバーグ・ミンチカツ・エビフライなど今ならなんてことはないメニューだが、近隣の商店主や常連だけでなく池波正太郎にも愛された理由が良くわかる。
喧騒のミナミの繁華街のど真ん中にあって飾り気がなく昔気質な味を守ってくれている安心感がなんとも心地良い。

 

第5位 グリル森田 (淀屋橋・大阪)
淀屋橋というか天満というかアメリカ領事館の裏にあり今流行りの「隠れ家的な雰囲気」を漂わせている店である。
と思っていたらアメリカ領事館向かい側通称(私一人が言っているので通称には当たりませんが)魔の三角地帯内に引っ越したようだ。
ここではタンシチューかビーフシチューを味わおう。
ソースが何ともいえず関西風のさっぱりソースに仕上がっており日本はもとより海外でもこのようなソースにはお目にかかれない。
ただ難点は少々値段が高いことだ。

 

第4位 つばめグリル (品川・東京)
つばめグリル
当社の東京事務所が品川に移転して困ったことがある。
それは品川という土地でワクワクするようなレストランに巡り合えないことだ。
でも駅前にあるこのつばめグリルだけは別格である。
つばめハンブルグステーキにビールという定番。
それもちょっと遅めのランチに頂き、ほのかに酔うのが何よりも優雅で贅沢なご馳走に感じられる。
でも、決して『俺は業界の人だから昼のビールくらい平気なんだよ。』
なんてオーラを出してはいけない。
『いいのかな?昼からビールなんて。。でも1杯くらい。。いいよね。』
周りに知った人がいないかきょろきょろオドオド。。。
そんな雰囲気が漂っていれば私が女性ならきっと前に座ってお酌をしてあげるだろう。
(これを読んで賛同されれば誰か私が次回一人で食事しているときにお酌して頂戴。)

 

第3位 さくらい (湯島・東京)
さくらい
湯島界隈には特殊な文化の匂いが漂っている。
その昔、明治の文豪や日本を変えた政治家達がこの辺りを闊歩していた頃に思いを馳せて思い切りハイカラな食事を楽しむ。
料理は何の変哲もない和風洋食であるがガラス越しに見える厨房の中の様子も楽しみながらカウンターで一人ワインやビールを呑みながら食事を楽しめる。
又隣席する客が何とも言えず上品である。
その心得ているというか弁えた(わきまえた)客層がこちらの居心地まで良くしてくれる。

 

第2位 明治軒 (心斎橋・大阪)
明治軒
ここはランチやディナーというよりその間のおやつ感覚で利用するのが好きだ。
厨房正面のカウンターがRegular seatだ。
4人いるオムライス職人を正面から眺めているだけで心が弾む。
ふかふか、トロトロに仕上がったオムライスに銀串(串カツ)の定番。
それに生ビールを1杯だけ。
こんな食事をしていると、果てしも無く人に優しくなれるような気がしてくる。

 

第1位 グルメ・サンド (伊丹空港内・兵庫県)
グルメサンド伊丹
昔、伊丹空港は北ウイングが国内線で南ウイングが国際線ターミナルだった。
その両ウイングを結ぶ通路の中央に位置し、1964年から営業するこの店では迷うことなくカツサンドを注文する。
関東のトンカツサンドと違い大阪でカツといえばビフカツである。
よってミディアムで頂ける。
ビフカツサンドに生ビールという組合せしかあなたを満足させるものはない。
此処に来ると一人帆を張り世界に飛び立っていた頃の自分を思い出させる。
そんな気分に浸る時になくてはならないお店なのだ。
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父が生まれて初めてピザを食べた時「洋食焼(お好み焼き)の方が旨いなぁ~」と素直につぶやいた。
父が50歳に手が届く頃だったと記憶している。

父は死ぬまで毎晩2合の晩酌をかかさず、ワインなど多分生涯一滴も呑まないまま亡くなったのだろうと思う。
そういう私も小学校の給食で生まれて初めてチーズを食べて吐き出した。
そんな世代の人間がソムリエを呼びつけワインの味を語るなどおこがましい。
フレンチを味わいイタリアンを語るも良い。
勿論、ワインに拘るのも構わないだろう。
しかし我々には脈々と何世代にも亘る、そんな食文化など存在しなかったのだ、ということに日本人はもっと謙虚になるべきだと思う。

やはりカウンターに座り銀串から熱々のカツを口で引きちぎりビールと共に流しこむ。
そしてデミグラスソースのたっぷりとかかったトロトロのオムライスをスプーンですくい大口を開けて頬張っては又ビールで流し込む。
こんな洋食屋さんが私は大好きだ。

By Yuji